障害者向けマッチングアプリを悪用し、知り合った男性に高額な飲食代を不当に請求したとして、警視庁は6月28日、東京都ぼったくり防止条例違反や監禁などの疑いで、都内在住の男女4人を逮捕したと発表しました。
逮捕されたのは、自称飲食店経営の鈴木駿太容疑者(22・新宿区)、大野詩織容疑者(21・板橋区)、鈴木拓磨容疑者(21・住居不定)、劉佳稔容疑者(20・北区)の4人で、いずれも容疑を認めています。
この事件は、5月13日に同様の容疑で逮捕された別の男女3人と同じグループによるものとみられ、警視庁保安課は、複数の実行チームが日替わりで犯行に及んでいたとみて捜査を進めています。
精巧な手口で障害者をターゲットに
グループは、身体や精神に障害がある女性を装ってアプリに登録。下半身に障害があり、装具を装着していた20代の男性に接触し、渋谷区道玄坂のバーに誘い出しました。
バーでは、従業員であることを隠した女性が男性を案内し、酒を次々に注文。支払額として25万円を請求しました。
男性が全額を支払えなかったため、容疑者らは男性の携帯電話を取り上げ、都内港区のサウナ施設に約8時間半にわたって監禁。
その間に消費者金融との間で借り入れ契約をさせ、最終的には3社から約150万円の借金を背負わせたほか、金のネックレス2本(計約68万円相当)を購入させるなど、合計でおよそ243万円を取り立てていたとされています。
さらに一部の容疑者は、男性の実家を訪れ、「他の客がキャンセルした」などと理由をつけ、追加の支払いを強要したケースもあったということです。
広がる被害、警視庁は全容解明へ
このグループによる犯行は、2023年秋以降に少なくとも50件以上確認されており、被害総額は約8,000万円にのぼるとみられています。
警視庁は、グループの指示系統や組織的な関与の有無を含め、さらに調査を進める方針です。
被害者の男性は「装具をつけており、逃げてもすぐに追いつかれると思った。
あきらめるしかなかった」と話しており、弱者につけ込んだ悪質な犯行が社会的な波紋を広げています。